国際通りなどの観光地を訪れると、本物の蛇の入った大瓶を見かけます。沖縄の毒蛇ハブを酒に漬け込んだ、いわゆる「ハブ酒」です。ハブ酒が初めての人にとっては、蛇が入っている姿は不思議に映るようです。
観光地で際立つ、ハブ酒
ハブ酒は書籍やネットで詳しい情報を探し出すのが難しいですが、株式会社醸界さんが運営されている泡盛新聞には特集記事が3本も公開されていました。どの記事も1970年から1972年にかけて書かれたようです。沖縄が日本に復帰する前のハブ酒の状況が軽妙かつ鮮明に描写され、記事によると沖縄では古い時代からハブ酒やハブ油が活用されていたようです。
私の感覚では、沖縄でもハブ酒はビールや泡盛ほど頻繁に飲まないような気がしますし、観光客があまり利用しない店舗ではハブ酒を扱わない傾向もうかがえます。逆に、観光客の来店が見込める飲食店の場合、ハブ酒がメニューに載っていて、グラス一杯500円くらいから楽しめます。ボトル1本の場合、ハブの有無、アルコール度数、容量によって価格は変わります。例えば、ハブなしの25度100mlで400円台から、大きなハブ入り35度4000mlで20万円台からです。
一般社団法人 日本記念日協会さんによれば、8月2日は「ハブの日」で、おきなわワールドで有名な株式会社南都さんによって制定されました。また、この日はエスビー食品株式会社さんによって有用植物の「ハーブの日」にも制定されています。
現在、店頭やネットで購入できそうなハブ酒銘柄は次の通りです。販売年が早そうなものから挙げています。ハブ酒は「薬膳酒」「リキュール」として扱われ、アルコールのベースは泡盛に限らず、ラムのこともあります。
八重泉酒造さんの「はぶ酒」
24度、360ml、1,775円(税込)から
原料は石垣島に生息する先島ハブ、島の薬草、黒糖、梅など。1960年にリキュール類(はぶ酒)免許を取得。『泡盛をめぐる沖縄の酒文化誌』(萩尾俊章、2022年、ボーダーインク)の274ページによれば、この銘柄は「ハブ酒のパイオニア」座喜味さんによって開発され、「初の企業量産に成功した」商品とのことです。
ヘリオス酒造株式会社さんの「ハブ酒 うるま」
40%、720ml、3,190円(税込)から
沖縄ラム漬け。1970年にハブ酒の販売開始。1994年、1995年、1996年、国際品評会モンドセレクション銀賞。
有限会社奄美ハブ酒本舗さんの「ハブ酒」
35度以上36度未満、720ml、4,784円から
原料は生ハブ蛇、焼酎乙類(黒糖を原材料としたもの)、薬草類(ケイヒ、シソ、キッピー)、糖類、花良治みかんの果皮、水。鹿児島県奄美市の酒造所。1976年創業。
南都酒造所さんの「琉球の酒 ハブ酒」
25度、720ml、2,420円(税込)から
泡盛をベースにした13種類のハーブ酒、ハブエキスをブレンドしたリキュール。ハブは血抜き、臭腺除去、腸管摘出の処理を経て、その骨肉皮をサトウキビから作られた59度のアルコールに浸漬し、旨味成分のエキスを抽出するそうです。
and okinawa株式会社さんの「HABUSH」
35度、500ml、4,400円から
サトウキビからつくった59度のアルコールに浸けて抽出し、13種類または8種類のハーブ酒(泡盛ベース)。沖縄タイムスの記事「飲んでバイブス! 沖縄『ハブ酒』の人気急上昇 ラッパーAwichさんプロデュースで即完売」によれば、製造は上原酒造株式会社さん(南都酒造所さんの子会社)。
南島酒販株式会社さんの「DoubleH」
30度、750ml、2,970円(税込)から
リキュール。原材料は泡盛(沖縄県製造)、ハブエキス(ハブ、原料用アルコール)、ハーブ13種類エキス。製造は南都酒造所さん。