沖縄に原子力発電所はあるの?

沖縄県には原子力発電所はありません。2025年2月、日本の原子力発電所(号機)は71基あり、このうち運転可能33基、建設中3基、着工準備中8基、廃止27基です(電気事業連合会、「FEPC INFOBASE」、41ページ)。日本の原子力発電所は沖縄以外に建設されています。

沖縄県には火力発電と再生可能エネルギー発電のみ

「沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブ 資料編(改定版) 2022年3月」の1~12ページによれば、沖縄県には火力発電と再生可能エネルギー発電の2種類が存在します。そして、この2種類の発電はさらに細かく分類されています。例えば、沖縄の火力発電には汽力、ガスタービン、内燃力という方法が採用されています。再生可能エネルギー発電では、太陽光発電、バイオマス発電、海洋温度差発電、廃棄物発電、風力発電、中小水力発電が導入されています。

沖縄県の電源の約87%が火力発電によるもの

沖縄県における火力発電と再生可能エネルギー発電の割合を調べてみました。「沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブ 2024年度(令和6年度)進捗状況報告書」の3ページによると、再生可能エネルギーによる電源供給量は年々少しずつ上昇し、2023年度は1,045GWhに達し、2023年度の沖縄県の総電力供給量(8,389GWh)の12.5%を占めたそうです。ということは、沖縄県の電源のおよそ87%が火力発電によって供給されたとも言えます。

火力発電の6割が石炭

沖縄県の火力発電では何が燃やされているのでしょうか。沖縄電力株式会社の「沖縄電力の石炭火力について 2020年9月」の2ページによれば、2019年度は石炭60%、LNG20%、石油14%を使用して火力発電を稼働させているそうです。沖縄県は原子力・水力の開発が困難のため、また、産出地が分散している石炭は価格が安定しているため、石炭中心の構成になっていることも明記されています。

沖縄県のエネルギー自給率、3.0%

沖縄県のエネルギー自給率は2022年度3.0%です。エネルギー自給率とは、県内の最終エネルギー消費量のうち、県内産出エネルギー(再生可能エネルギーと沖縄県産水溶性天然ガス)の消費量が占める割合を指します。なお、輸入バイオマスを使用した再生可能エネルギーは県内産出エネルギーとはみなされていません(「沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブ 資料編(改定版) 2022年3月」、25ページ)。

沖縄県には水溶性天然ガスが存在

ところで、上の段落には「沖縄県産水溶性天然ガス」という言葉が使われています。名前の通り、沖縄で産出された水溶性天然ガスを指します。1959年に琉球大学の兼島清教授によって沖縄島南部に天然ガスが存在することが初めて報告されたそうです(加藤進、根本欣典、侯建勇、「沖縄本島南部の水溶性天然ガス」、312ページ、石油技術協会誌 第81巻 第4号(平成28年7月) 312~321ページ、2016年)。

その後の試掘調査で沖縄島の中南部と宮古島に膨大な水溶性天然ガスが確認され、ユインチホテル南城(沖縄島、南城市)やロワジールホテル那覇(沖縄島、那覇市)で電気や熱として利用した例が挙げられています(沖縄県、「沖縄県クリーンエネルギー・イニシアティブ【改定版】~2050年度 脱炭素社会の実現に向けて~」、24ページ、2022年)。

沖縄県で水溶性天然ガスの存在が報告されてから今年で66年になります。火力発電の主要な燃料として利活用され、エネルギー自給率を押し上げてくれるのではないかと期待しています。